2025/4/17

政治家とキャリアデザイン#3 教壇から議会へ 小林大介さんに聞く、議員と民間の仕事を両立するヒント

政治家とキャリアデザイン#3 教壇から議会へ 小林大介さんに聞く、議員と民間の仕事を両立するヒント

遠藤結万(以下、遠藤):今日は神奈川県清川村議会議員の小林大介さんにお越しいただきました。小林さん、簡単に自己紹介をお願いできますか?

小林大介(以下、小林):神奈川県清川村というところで村議会議員をしています、小林大介といいます。議員としては1期目で、もうすぐ4年が終わるところです。並行してNPO法人の理事、市立小学校の職員、そして大学院生として研究を続けたり、いくつかの肩書きを持って活動しています。今日はパラレルキャリアについて色々とお話しできればと思います。よろしくお願いします。

遠藤:こちらこそ、よろしくお願いします。議会活動の傍ら他のお仕事もされていると伺いました。どんな活動をされているのか教えてください。

小林:議員1期目をやっている一方で、NPO法人の理事や小学校での職員、大学院生など、多方面で動いています。どれも「教育」というキーワードが絡んでいて、自分の強みを活かしながら取り組んでいるところです。

遠藤:そもそも政治家になろうと思ったきっかけは何でしょうか?

小林:もともと公立の小学校で10年ほど教員をしていました。子どもたちのためにもっと良い教育環境を作りたいと試行錯誤する中で、一教員としての裁量には限界があると感じたんです。校長になれば学校全体を変えられるかもと思ったのですが、30歳くらいだった私にはあと20年ほどかかる道のり。目の前の子どもたちが卒業していくのをただ待つのは長すぎる。そこで、もっと早く教育の仕組みを動かす力を持とうと思ったのが、政治を志した理由です。

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村議会議員としての仕事とパラレルキャリア

遠藤:教員から政治の道へ進んで、カルチャーショックのようなものはありましたか?

小林:「もっと改善できるところが多いな」というのが率直な感想です。国や都道府県、市町村それぞれで課題はありますが、特に小さな自治体では民間企業の最先端の知見やIT活用がなかなか入っていないことを強く感じました。だからこそ、社会人経験を持った人の存在は政治の世界で大きな価値があると思います。

遠藤: なるほど。次に、 議会のある日の1日のスケジュールを伺いたいです。清川村議会は、どのような流れで進むのでしょうか?

小林: 本会議は年4回(3月・6月・9月・12月)あり、朝9時半からスタートです。まず執行部(村長や役場の幹部職員)から議案の説明があり、質問や意見交換をして最後に採決します。長い日は午後3時、4時くらいまでかかりますが、半日で終わることもあります。
ただ、清川村ではオンライン配信や録画がなく、議会の様子を知るには直接傍聴に来るか、数か月遅れで公開される会議録を見るしかありません。情報発信は大事だと感じていて、私は議会のたびに報告チラシを配ったり、毎月タウンミーティングを開いたりしていますが、そうしている議員は少ないですね。

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遠藤:議会外の日は小学校で働いたり、NPOや大学院の研究を進めたりされているそうですね。

小林:はい。週4日フルタイムで私立の小学校に勤務しながら、自治体や業者との連携、カリキュラムづくりなどに携わっています。突然「今日◯◯先生がお休みなので、代わりに授業お願いします」と言われて教壇に立つこともあります(笑)。議員だけでなく、教育現場に携わり続けたいという思いもあり、これが自分に合った形です。

遠藤:政治家でもあり教育者でもあり、複数の立場を持つことで政治にプラスになる点はありますか?

小林:政治家だけの感覚にとらわれず、民間の視点で物事を考えられるのは大きいですね。デジタル化や財務諸表の読み方など、議会に足りない視点を提供できると思います。また、住民の多くは会社員など民間で働いているので、パラレルキャリアの政治家がいることは議会の決定がより現実に近くなるメリットもあると感じています。

議員の重要な役割

遠藤:地方議会の議員は「監視と提案」が仕事だとよく言われます。小林さんが達成感を得るのはどんなときでしょうか?

小林:行政が「やるぞ」とアクセルを踏んで進めようとする施策に対して、「その進め方で本当に大丈夫か?」「住民への説明は足りているか?」とブレーキ役を果たすのが議会の重要な役割です。そこで「もう少し丁寧に進めましょう」「情報公開をしっかりしましょう」と提案し、実際に改善されるときは達成感がありますね。
 もし何かをガンガン進めたい人が議員になると、執行部が動いてくれないことにフラストレーションを抱きがちです。そういう方は首長や職員の立場でアクセルを踏む方が向いている場合もあります。

遠藤:なるほど。政治家になりたい人が全員、議員を目指すのがベストではないということですね。ところで、議員は4年ごとに選挙があって続けられるか分からない職業ですよね。小林さん自身の今後のキャリアビジョンはどのように考えていますか?

小林:正直、2〜3年先のことを明確には固めていません。議員は任期制なので、次に進むかどうかの選択肢が常にある状態。でも私は「新陳代謝が必要」と思っています。あまり長期に渡って同じ人が議員を続ける場合、過去に自分が議員としてやってきたことを否定することになってしまう可能性やジレンマに直面し得ると思います。
教育を軸にしつつ、政治を含め「自分の力を活かせる場所」を探りながらキャリアをリデザインし続けていきたいですね。

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自分が持っているタグを考える 

遠藤:パラレルキャリアの政治家が増えることに期待しているとおっしゃっていましたね。最後に、政治に興味を持った人へのアドバイスやメッセージをお願いします。

小林:まずは地元の政治家に直接コンタクトを取ってみるのが良いと思います。議会を傍聴するのもいいですし、他にもSNSやウェブサイトから連絡してみると意外とみなさんウェルカムです。
また、すでに議員をやっているけれど「もっと幅を広げたい」という方は、自分のリソースを確認したうえで、思い切って知り合いやエージェントを頼ってみると可能性が広がるはずです。
そして、自分が持っている「タグ」は何か? というのを棚卸ししてみるのもおすすめです。タグを掛け合わせることで、希少性を上げることにも繋がります。私で言えば「教育」と「政治」ですが、そこに民間の視点を掛け合わせるだけで議会に新しい風を吹き込めると思います。

遠藤:タグの掛け合わせ、いいですね。最後に、清川村の魅力もぜひ教えてください。

小林:神奈川県のほぼ中央にある小さな村で、都心からバスや電車を使って2時間ほどで着く場所です。「都心からいちばん近い村」として自然豊かな観光地でもあります。ぜひ気軽に遊びに来てください!

遠藤:本日は清川村議会議員の小林大介さんにお話を伺いました。チェックやブレーキ役としての議会の重要性や、パラレルキャリアによって政治の可能性が広がるお話など、大変興味深かったです。これを読んだ方の中には「政治家って忙しそうだけど、パラレルキャリアでもできるんだ」と感じて、一歩を踏み出す人が増えるかもしれませんね。小林さん、本日は本当にありがとうございました!

小林:ありがとうございました。ぜひ興味を持ったら気軽に連絡してもらえたら嬉しいです。